『心霊探偵八雲 5 ~つながる想い~』の話。

あたし、この小説は、1巻とこの5巻が一番好きですねー。

他の巻ももちろん嫌いってわけではないんですが、どうも作者のキャラクターへの思い入れが強すぎて空回りしている部分が見受けられて( 特に主人公の八雲に対してそれが顕著で)、読んでてちょっと鼻につくなあとたびたび思いました。いちいち八雲のすごさを言葉にして地文に書き込んだり、他のキャラに執拗に語らせたりするのは正直引くなあ。いや、読者にちゃんと伝わるか心配で書き込んじゃう気持ちはすっごく判るんですが(笑)。これって作家がおちいる、典型的罠なんですってねー。米国ではスティーブン・キングと人気を二分する人気作家ディーン・R・クーンツのとっても面白い本、『ベストセラー小説の書き方』に書いてありました。なるほどなー(笑)。

その点、1巻は、八雲にしろ晴香にしろ、その言動でどれだけ優しくて心の強い人間なのかが伝わってきて、ホントに面白かった。2巻以降も、ストーリーは面白かったし、謎が少しずつ明らかになっていくからそれが知りたくて読んでましたが、あまりに鼻につく部分が増えてきたから、4巻を読んだあと、「次から買うのどうしようかなあ」とちょっと考えてしまったのですが、この5巻はそういう部分がなくて、とっても面白かった ! どうしても結末が知りたくて、一気に読んでしまったですのコトよ。

ホントに全然話の先が読めなかったですね、今回は。そして、本当に心から、『八雲、よかったね』と思いました。母親が自分を殺そうとしたことが彼の心の最大の重荷になっていたのだけれど、母親がそんな行動に出てしまうまで、自分が母親にどれだけ愛され、愛情を注がれていたか、そのことを思い出せたことは八雲にとって何よりだと思います。そして、死してなお、自分たちを守ろうとしてくれた母親の霊を見て、心の闇も溶けたでしょうね。よかった。それにしても、今回は晴香ちゃん大活躍 ! すごいわ、彼女。ホントに芯が強くて可愛くて、晴香ちゃんは大好きです♪


この話で八雲の心の闇が溶けて、第一部・完って感じです。作者は“このままこのシリーズが終わるかも…”みたいなことをあとがきに書いていますが、悪いけど、この人、絶対そんな気ないと思いますね(笑)。この作品への作者の思い入れの強さがそう思う第一の理由ですけど、他にも、八雲の“父親”との決着がついてないですし、奈緒ちゃんの謎もあるし。物語を紡ぐ作家として、そこら辺を書かずに終わるなんてないと思うんですよねー。ちょっと賭けてもいいかも(笑)。

でも、作者が、「このシリーズを続けるためだけに、八雲を心の闇にしばっておくのはいやだった。だから、周囲の反対を押し切ってこの5巻を書き上げた」と書いてましたが、それはとても素敵なことだと思います。八雲の心の闇の話を引っぱれば、ストーリーはいくらでも続けられたのに、そうしなかった。かっこいいですね。そして、あたしも心の闇から脱け出した八雲を見られて、ホントにうれしい。正直、もっと何巻もずるずる引っぱるかと思っていたので。この作者の八雲に対する愛情の深さの表れだな、うん。


…ところで、ずっと気になっていたんですが、たまに一心さんが八雲の“伯父”とか書いてあったりするのはまだしも( ←あ、一心さんは八雲の母親の弟なので、当然正しくは“叔父”なのです)、奈緒ちゃんが“八雲の姪”って4巻の登場人物紹介欄に書いてあったのはなんなのでしょう? 登場時は確かに“八雲の従妹”でしたけど? 姪ってことになると、八雲に姉妹がいて、その人の娘ってことになっちゃうんですけど。これもただの間違い? それとも、従妹ってことにしてあるけど、ここにも何か深い理由があって、ほんとは姪なの? 奈緒ちゃんも母親が出てこないしなあ。まさか、美雪が母親か!? じゃ、父親はあの男? いやあ、でもそれじゃあなあ…。そもそも、一心さんは結婚しているのだろうか? 最初は奈緒ちゃんは一心さんの娘さんみたいな感じで登場したのになあ。判らぬよ…。

こういうことって、八雲の公式ホームページがあるらしいから、そういうとこで突っこまれてたりするのかもしれないけど、どうもああいうホームページは思い入れと思いこみが激しい人たちが多い場合があって読むのが苦手なので、見に行ってませぬ(笑)。まあいいや、きっとこの話は続くから、その時判るでしょ。


八雲は今度テレビドラマ化されるそうです。誰が八雲をやるんだろ? うぬう、結構難しいんじゃないかなあ? よい出来のドラマになるといいね。


心霊探偵 八雲〈5〉つながる想い

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